「あー…いい天気ー…」
ふと目が覚めた。まだ早い。しかも今日仕事は休みだ。
美容院の定休日は概して平日なので、いつも突撃してくる弟も今日は学校だ。付き合せるのも悪い。
手持ち無沙汰な俺は、なんとなく、外に出た。
足が公園に向いたので、途中自販機で缶コーヒーをひとつ買って、誰もいないベンチに座った。
…カプチーノが良かったが、寂れた自販機には高望みだろう。
…そして今。
コーヒーに口をつけながら、俺は太陽が上りかけているのを見て、思わずつぶやいた。
いつもは天気なんて屋内だからあまり気にしない。気にするのはそれに伴なう客足だ。
ただ、今はこの赤が妙にキレイで、他に言葉が出てこなかった。
しばらく眺めていると、やがて学生やサラリーマンの登校・出勤が始まった。
弟ももう学校に向かっただろうか。
そういえば朝食を食べていないのだが、俺はあまり気にしなかった。
ばたばたと、皆慌ただしく駅へと急ぐ。
「(あ。)」
あのサラリーマン、ネクタイまがってる。
俺と似たような長さの茶髪で、緑のスーツを着込んでいるそいつは、時計を見ながら走っていた。
あ、気が付いた。
走りながら、ネクタイをさわる。右手をネクタイに当てて首を動かし、どうにかマトモに見えるくらいに直った。
残りは時間に間に合ったらいくらでも、だな。
わたわたと、他の人が気付いてなかったかどうか確かめるような仕草をしてあと、何事も無かったかのように走っていった。
「情けないなぁ……」
そいつの後ろ姿を見送って苦笑しながらつぶやいた後、俺はふと思った。
…俺も家業を継いでいなけりゃ、あんな風になっていたのかもしれない…。
くしとはさみの代わりにビジネスバッグ。
女の子の髪を扱う代わりに上司の相手。
…いっつもさっきみたいに人の顔色をうかがって?
「何だかなぁ」
もどかしいような、変な気分になった俺は、被ってきたテンガロンハットを膝に置いて、ベンチにもたれた。
缶コーヒーが冷めた頃、俺は家に帰った。
親から何処行ってた!って怒鳴られて、店の掃除をやらされた。
…そういえば今日の朝食当番は俺だったような気がする。
それからしばらくたったある日。
仕事も一段落して、ちょっとコンビニに行こうとした俺は、反対側から歩いてくる人影に気付いた。
いつかのサラリーマンだった。
そいつは前と同じスーツを着ていた。ネクタイも今日はまがってない。
「?」
ビジネスバッグを持っていなくて、代わり(になるかは分からないが)にネコを抱いていた。
クリーム色の仔ネコだった。
そいつはあの時とは打って変わってにこにこしながら歩いている。ネコに笑いかけていた。
すれ違う瞬間、ネコが「なー」と鳴いた。
何だか幸せそうな声だった。
「……」
向こうは俺を全く気にせずに歩いていったが、俺は立ち止まってしばらくそいつの後ろ姿を見送った。
前は情けなく思ったそいつの背中が、やけに羨ましく思えた。
ああいう生き方もアリかな、と思いながら俺も前を向いて歩き出した。
空はあの時と反対方向で赤くなっていた。
…こんな感じです(訳が分かりません)。
えと、皆様はBUMP OF CHICKENの『ベンチとコーヒー』という曲をご存知でしょうか?
私の中で二人はこの曲の最初部分のイメージなのです。
この二人が似てるという話は色々なサイトさんで聞きますし。私もそう思ってしまいましたし。
年収はマコトの方が良いかもしれません。カリスマですし。
お兄さん(サトウさん)は業績が思わしくないかもしれません。BAD時参照。
でも親の職を引き継ぐと、逆に普通の職に惹かれるところもあるかな、と。
…なんて考えたのは今ですけどね(オイ)。
とにかく。
思い立ったので勢いに任せて書いてみました。
一人称がよく分からない感じです。うわ。
2002/6/16