かたかたかたっ。かったかた。
「…?」
 最近、おにーさんがヘンな物とにらめっこしている。
 半分に折れてる真っ黒い板を半開きにして、片側についている細かいボタンみたいなのを指の一本一本で少し乱暴に叩いて、
 もう片側の板に映し出される絵を真剣な顔をして見つめていた。
 …遊んでくれないかな〜?
 おにーさんの右隣りにちょこんと座ってみる。とりあえずひと鳴き。
「な〜」
「……っ…あ〜〜 違うっ」
 かかかっ。たしっ。
 おにーさんはボクの方にあった大きめのボタンを荒っぽく叩いた。映っている黒い部分がそのたびに多くなったり少なくなったり。
 ボクに気付く様子は無い。
 …負けるもんか。
「な〜」
「また違う……終わるかなぁ…」
 たん、たん、たん。
 人差し指でボタンをやる気無く押して、おにーさんは両手を天井に向けて、座ったまま大きく伸びをした。
「な〜〜」
 ついでにボクもおにーさんと一緒に伸びてみた。
「お、なんだ。お前も疲れてんのか?」
 ようやっと気付いてくれたおにーさんは、伸びを止めてボクを抱きかかえた。
「うなー…」
  ごろごろ。
「よしよし……ふぅ。」
 おにーさんはにっこり笑ってボクをなでてくれたけど、何だか浮かない顔をして、ため息までついてる。
「な…?」
 …おにーさん、よっぽど疲れてるのかな…?
「…」
 ボクが遊んでもらいたいなんてワガママ言っちゃいけない。がまんがまん。
 …でも…
「な〜…」
  こてん。
「おい?どうした?」
 抱きかかえてくれている腕の中で、ボクは静かに目を閉じた。
 おにーさんの邪魔にならないようにおとなしくしていようと思ったから。
 でもせめてボクが寝ちゃうまで、このままでいて欲しかったから。

 今度目を開けたら、おにーさんはまた笑ってくれてるかな…?


 
 …どうやら、寝てしまったらしい。
 確かに最近遊んでやらなかったから、コイツはつまらなかったのかもしれない。
 でも書類作成しないと……せっかくノートパソコン買ったんだし。
「でもなぁ…」
 こんなに気持ち良さそうに寝てたらうっかり起こせないだろう?
 起きるまでこのまま…か?
「まいったなぁ…」
 眠った仔ネコを抱いたままの態勢を崩せずに、苦笑いをした。






レポート作成に追われていた時の一品。


2002/08/26
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