「…おっ?」
 仕事を抜け出してコンビニで買い物をした帰りに、清掃員は見知った姿に声をかけた。
「May!」
 右手を上げ軽く振りながら、前方の女性に声をかけた。
 女性は気付いていないのか、振り向かずに先へ進む。
「何だよ、連れねぇな」
 清掃員は右手を下ろして、女性のもとに走る。
 女性と会うのは、一月…いや、二月ほど前だろうか。
 上げていた髪を下ろし、キレイなストレートにロングのチャイナ服。
 前にも少し見ていた服装だったのだが、まるで別人の様だった。
 しかし頭に付けている大きな蝶の髪留めは、間違いなく…
「おい、May?」
 追いついた清掃員は女性の肩を、ぽん、とつかむ。
 振り向いた顔を見ると、やはりそれはいつかのポップンパーティで見た顔だった。
 …が。
「…誰?」
 女性は非常に怪訝な顔をして清掃員に言った。
「え?あのー…お前、Mayだよな?」
 意外な返答に窮して、清掃員はしどろもどろに言葉を紡ぐ。
 間違いなく、あのときの女であるはずなのだ。
「人違いじゃない?そんなヒト知らないわ」
 肩に乗せられた手を払い除けながら応える。清掃員は手を除けられて、はっ、としてまた、尋ねる。
「いや…!そんな事ねぇ。俺、人違いなんてしねぇよ。それにその頭の蝶!Mayじゃないってんならアンタ、名前は?」
 女性が、ふっ、と笑う。
「しつこい人ね、貴方も。私はJuly。Mayなんて知らない」
「July…?」
 きょとんっ、と清掃員が目を瞬かせる。
「そ。これで満足かしら?私忙しいの。じゃあね―――KK?」
 すれ違う寸前、清掃員の耳元で小さく囁く。名乗ってもいない清掃員の名を。
「お、おいっMa…じゃねぇ、July!」
 慌てて振り向き、背中にまた呼びかける。
「今度会うときは…Augustかっ!?」
「…Marchかもしれないわね」
 口元だけの笑みを残して、Julyは人込みに紛れた。
「…わっかんねぇ」
 買ってきたばかりのタバコの封を切って、一本くわえた。
 火を点けながら、思う。
 …難儀な商売だよな、アイツも。
 確か、何処かでスパイをやってたはずだ。

「ま、ヒトの事は言えねぇな、俺も」
 …スナイパーなんてやってる俺も。

 大きく煙を吐いて、清掃員は仕事に戻った。



うっかり書いてしまいました姐さん!
かっこ良いですよ〜v曲もノリがよくて好きです。
ジューンをすっ飛ばしてジュライってのが何とも。でもせぷてんばーとかは…語呂悪いですねぇ…。
かっこ良い大人な二人を書きたかったのですが…どうだったでしょう…。


2002/8/4

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