しとしと。しとしと。
 ぽかぽか陽気のお昼下がり。
 お昼寝をしていたボクは静かな音に目を覚ました。
「…な〜」
 雨だ。
 あーあ。おにーさん、傘持っていったかなぁ。
  ざーざーざー。
 だんだん強くなってきた。
 ボクは窓に近付いてカーテンの端っこを、くいっ、と引っ張った。
 …怖い。
 雨が、怖い。
 前のボクなら、平気だったのに。
 ポリバケツのふたが開いていても屋根があったから、濡れる事は無いし。
 そこから眺める風景はとても静かで、それが素敵だとも思ってた。
 でも今は。
「なー。なーっ」
 ボクが拾われたのは、ちょっと前。
 雨の中置いていかれたのも、ちょっと前の思い出。
 雨が降ると、思いだす。
 あの時カサをさしてくれたおにーさんは確かに優しかったけど。
 ボクは淋しかったんだ。
 …置いてかないで。お願いだから。ボクを置いていかないで。

   ボクはちょっとだけ、泣いた。

 しばらくして雨が上がって。
 またしばらくしておにーさんが帰ってきて。
 おにーさんは濡れていたけどボクは構わず飛びついた。
「な〜、な〜〜」
「お、おいどうした?もしかしてカミナリ怖かったのかっ!?」
「な〜っ、な〜」
「…よしよし。もう大丈夫だから」
 カミナリには全然聞こえなかったんだけど。
 おにーさんが心配してくれたので、
 ボクは思いっきり甘えた。

 …雨も悪くないかもしれない。
 前のボクとは違う理由で、また雨が好きになれそうだ。




Notクリアは切なすぎです。雨〜…
しかし近所で雨の日に佇んでいるネコ(多分ノラ/たまに飼いネコ)を見るとぎょっと致します。
彼らは何を思ってそこにいるのでしょうか…


2002/8/14

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